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社会福祉協議会のボランティアセンターというのは、実は福祉に関わるボランティアだけなのかといいますと、64%というのは比重としては大きいですが、それだけではないという事です。現実にボランティア活動されている人の中には、今、間庭さんの方でおっしゃられましたけれども、埼玉県にも老人クラブというのがありますが、老人クラブでボランティア活動をされている方の数字というのは殆ど入ってきていないのです。例えば母子愛育班や民生委員、保護司という人達の数は入ってこない。それからもう1つ埼玉の人達というのは東京にお勤めされている方々が沢山いらっしゃいますから、東京でボランティア活動をされておられる人達というのは、その数にも入ってこない。そのように考えていきますと、先程都市型のというお話がありましたけれども、ステージが変わってきているなというのは、ただ単に市町村の社会福祉協議会のボランティアセンターで捉えるには限度が出てきています。もっと県段階や中央段階で活動に参加する人をも捉えていく様な手法が必要になってきたのではないか、今、そのような次元にきているなと思っているわけです。
先程、アナ・ミヤレスさんのおっしゃったタイムダラーの考え方というのは、まだ日本では完全に初めてというような感じなのですが、住民参加型で有償のサービスといわれる仕組みは、或る意味で言えばタイムダラーの仕組みに似ており、会員がお互いに助け合うという仕組みを持っています。
しかし現実は一方的にサービスを担う会員が担われる会員のところヘサービスを提供しに行くという仕組みで終わっていないか、その辺が大きな課題だろうと思います。これは基本的には住民の福祉に対する理解やボランティアに対する理解をどういうふうに深めていくかという事が大きな課題になっているように思っております。
埼玉県の中では現在ボランティア推進校とか、社会福祉協力校という事で、小・中・高の学校で福祉教育をしております。県内に大体1500校ございますが、その中の1/3の学校が国や県の指定を受けて実際にボランティアや福祉についての理解を進めているわけです。小さい時から理解をして21世紀を担える子ども、成人になって頂くという目的で実施しております。これは市町村の社協独自の指定も入れますと2/3となり、1000校近くが既に指定を受けており大きな成果を上げてきております。そういう意味では今後が非常に楽しみになってくると思っております。
また、ここ2年ですけれども「彩の国ボランティア体験事業」という事で、全県に夏休みの期間にいろんな方にボランティアに参加して頂こうという目的で始めた事業があります。昨年(95年)初めて開催した時には、52の市町村社協が参加されてましたけれども、今年度は79の市町村社協に参加をして頂きました。そして2000人程の方々が、いわゆる3ヶ月(7〜9月)の間に実際に活動に参加するというように大きな成果が上ってきているわけです。このような変化はいろいろな意味で進んできていると思っております。
行政関係で、県内のボランティアセンターは87あると申し上げましたけれども、実際にボランティアセンターを切り盛りしている職員の数はたった2名なのです。2名で全てを切り盛りしていくという事は不可能に近いわけです。それと同時に実際に住民が集まれる場所、いわゆるボランティアセンターという建物があったり、或いは1室がボランティアの為に自由に解放されている空間があるところが、残念ながら40ヶ所しかありません。

 

 

 

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